春待ちスミレ
一月下旬の大寒波が遠い過去のように時は流れ、うららかな春を光と風に体感します。
そして小さな我が家の庭にも変化が訪れます。さくらんぼの花が桜の時期より少し早く咲き、散ります。
遠野のずいなが芽吹き、紫陽花の瑞々しい緑の葉が月毎に大きくなります。
お隣から飛んできたであろう種が根づき、“春待ちスミレ”が咲き始めました。
こんな所から、と思うほど遠慮がちに庭の隅っこに楚々と居ます。
その姿を見ていると、夏目漱石が詠んだ『菫ほどな小さきものに生まれたし』という句を思い出します。
どういう気持ちでこの句を詠んだのでしょう。これから大地が温められると、
ギボウシがほんのり赤い芽を出します。植物に倣って、私も大きく背伸びしたくなる春です。
(イッコウ)